直葬とは、何だろう。
先般、私のところに、この業界に新規参入を志している方が訪ねてきました。この方の目的は、我々の寝台サービス(つまりは、亡くなってから、病院にお迎えに行き、搬送を行う業務)を委託したいという旨でした。
お話を聞いていますと、最近、テレビや新聞で取り上げられている葬儀事情をよく調べられていました。特に東京地区や東京近郊で増加している「直葬」を行うことを目的としてこの業界へ新規参入を試みようとしている様子でした。この方は、新規参入のスキームの説明を頂戴しました。 直葬を行う、合同墓を準備した。遺品やそのあとの部屋の片づけなどのサービスも行う。これを大体このぐらいの価格で行う。現在のお葬式は高いという前提ですから、この価格を安く提示すれば、そこそこ成算ありと言った勢いでした。
私は、彼に質問しました。 「大体のお話は、わかりました。私が腑に落ちない点をお聞きします。 直葬とは、火葬をして終わりのはずです。何故、お墓まで準備されているのですか。」この方の回答は、「ときどきいるのです。火葬だけでは、少し寂しいと言われる方が、お寺と提携して供養だけでもしてほしいという方もいるものですから・・・。」
この回答からすると、この方は、遺族のいない人をターゲットとしているのかなと思いました。それならば、今までと変わらない、社会福祉協議会などの公的機関が取り扱う葬式と同じなのかと聞きました。そうすると、そうではなくて、遺族がいようといまいと余り気にしていない。要は、お金をかけたくない人に対応したいのだということでした。
遺族がいるのなら、供養は、遺族がするものでしょう。面倒くさいとかお金がかかるとかそんなことよりも自分の育ててくれたことや、生きている間に世話になったことへの感謝の気持ちを込めて供養するものなのに、赤の他人のお寺に供養してもらっても余り意味がないと思うという話をしました。まあ、この方は、なんだかんだと言ってこの業界に参入するだろうなあと思います。上手くいくはどうかはわかりません。
でも、お葬式をするとかしないとか、お墓の面倒をみるとかみないとか。お寺にお経をあげてもらうとかもらわないとか。をもう少しきちんと理解して仕事をしてもらいたいと思います。また、消費者も安易に「安い・お手軽・お任せ」を業者にするのではなく、一体自分が亡くなったらどうすべきなのか。家族が亡くなったらどうすべきなのかをもう少し考えてから業者に頼んでほしいものです。
テレビや新聞では、直葬は、「簡単・安い・気軽」と言った面だけを取り上げて報道します。実際に直葬はそんなものです。ただ火葬するだけですから。でも、そうすることで見えない損があります。人づきあいが無くなることや、祖先との付き合いも無くなるかもしれません。また、以外と直葬が終わった後に時間や費用がかかるかもしれません。(故人と付き合いのあった方がお線香でも上げさせてくれと言ってきたりする。)そんなことを総合的に考えて直葬を行うのであれば、良いが、この新規参入者のような方では、きちんとアドバイスができるのだろうかと心配になります。まあ、何事も失敗から経験を積むものです。失敗してやめるのか。失敗を糧に頑張るかは、その人の精神力だと思います。さて、この方はどちらなのでしょうか。
でもつくづく考えます。やっぱり普通の人は、お葬式のことはわからないのだろうなあと・・・。
トラックバック URL :